芭蕉布の着物

芭蕉布について

 

 

芭蕉布は、沖縄県および奄美群島の特産品であり、1974年には沖縄県大宜味村喜如嘉の芭蕉布が、国の重要無形文化財に指定されています。

 

 

芭蕉布とは、バショウ科の多年草であるイトバショウから採取した繊維を使って織られた布のことです。蕉紗とも呼ばれています。薄く張りのある感触がその特徴であり、夏の着物や蚊帳、座布団など、広い範囲にわたって利用されています。

 

 

この芭蕉布とよく似ているものに、肌衣などによく用いられる芭蕉織というものがありますが、これは絹織物であり芭蕉布とは関係ありません。また、俳諧における夏の季語としても用いられています。

 

 

歴史的にみると、およそ五百年前から栽培されていたようであり、かつての琉球王国では王宮が管理する大規模な芭蕉園で芭蕉が生産されていたようです。また、一般の庶民の間でも、芭蕉は家庭菜園などで栽培されていたようであり、それによって各家庭ごとに糸を生産していたようです。

 

 

現在では、芭蕉の生産地として有名なのは、「芭蕉布の里」と呼ばれている、沖縄の大宜味村喜如嘉です。第二次世界大戦後に、蚊の繁殖を抑えるという理由から、進駐したアメリカ軍によって多くのイトバショウが切り倒されてしまい、絶滅の危機に瀕してしまったという経緯があります。そのため、近年では紅型の特徴的な美しい黄金色を染めるフクギや、アカネ、ベニバナを用いることもあります。