芭蕉布の着物

芭蕉布の制作

 

 

芭蕉布の着尺地には3つの種類があり、生芭蕉、縞芭蕉、絣芭蕉と呼ばれています。生芭蕉とは、経緯糸ともすべて芭蕉を使用して作った生地のことであり、縞芭蕉には経緯糸とも芭蕉のものと、綿糸を交織したものとがあります。

 

 

また、芭蕉の中でも特に厳選したものを使用して作ったものを絣芭蕉といいます。芭蕉布に使用する糸は、天気が良いと乾燥するため切れやすくなるという非常に繊細な性質があります。この微妙な糸加減のために、芭蕉布を織る時には機械を使用することができず、全て手織りで行なうことになるのです。

 

 

このように、芭蕉布の制作はその全ての工程が手作業で行なわれるものであり、その実践にあたっては厳しい忍耐力と注意力というものが必要とされています。その中でも特に、手結と呼ばれている喜如嘉の絣括りは大変厳しいものです。その方法では絵図が使用されないため、作り出される模様を頭の中で想像し、計算しながら絣を括っていくというものです。

 

 

そのため、この方法をマスターするのは簡単ではなく、長年の経験と勘というものが必要とされてきます。このような古くから伝わる伝統的な技法というものが、現在まで受け継がれてきているのであり、そのために美しい芭蕉布の品質というものも、常に保持され続けているわけなのです。厳しい忍耐力と注意力を通して織り上げられるその柄には、素朴で力強く、深い伝統の風情というものが感じられます。