芭蕉布の着物

芭蕉布に使われる染料

 

 

青の染料として使用されるのが琉球藍です。本土で用いる蓼科の藍ではなく、キツネノマゴ科の植物で、黒に近い藍色に染める事もできます。かつてはインド・中国南部・台湾・沖縄県・広島県・静岡県まで広く栽培されていましたが、今では沖縄県のみで多府県は衰退してしまっています。

 

 

主産地は沖縄県本部町伊豆味であり、その山の斜面には藍畑が広がり沖縄の水と太陽の恵みを受けてすくすく育っています。刈り取られた藍草が染料になるまでには、気の遠くなるほどの手間と技術が必要になります。

 

 

琉球藍は沖縄の海のように、深くほっとする優しい色に染まります。茶色の染料として使用されるのは車輪梅です。車輪梅という花名は、一箇所から多数出る小枝が車軸のように見えることと、花が梅に似ていることから付けられたようですが、実は梅ではなくバラ科の植物です。

 

 

黄色の染料として使用されるものは福木です。福木はオトギリソウ科フクギ属の熱帯性常緑高木です。 風害や塩害に強く耐火性もあることから、沖縄では屋敷林や防風林として植えられることが多いようです。

 

 

緑の染料として使用されるのはイ草です。イグサ科の植物で畳やゴザの材料として有名です。俳句では夏の季語としても使用されます。イ草の日本における主な産地は熊本県八代地方であり、国産畳表の8~9割のシェアを誇り、また歴史的文化財の再生にも使用される高級品を出荷しています。